体験水田

県の委託事業として、1999年に県民参加の体験水田米づくり活動としてスタートした公有地田圃は、県内外からの一般体験参加者を受け入れる体験水田として運営しています。

体験水田米作りは、毎年、県のホームページ等で体験参加者を公募し、5月の田植えから9月の稲刈り、10月の収穫祭までの米作り体験活動を提供しています。収穫祭では体験水田で収穫した新米を体験参加者に配布しています。

現在では8か所約 23,700㎡の公有地で活動を行い、体験参加者は近年では約400人~500人/年にのぼり、2021年までに延べ9,300人余に達しています。

2020年、2021年はコロナ禍の影響で、体験参加者に思うように田んぼに足を運んでいただくことができませんでした。2022年はたくさんの子どもたちの声が見沼田んぼに響く、楽しい米作りの風景が広がることを願っています。

子どもたちと一緒に手作業の米作り

見沼ファーム21の活動の中心となっている加田屋たんぼでは、ファミリー層を中心とした多くの体験参加者を受け入れ、手作業による米作りを実践しています。

大勢の参加者が不安なく作業できるように、作業手順を工夫し、スタッフも一緒に作業し声掛けや作業方法を説明するなどの配慮をしています。

また、子どもたちが裸足で安心して田んぼに入れることはもちろんのこと、環境にも優しい米づくりをめざして、除草剤や防除虫剤などの農薬や化学肥料は使わずに、有機肥料施肥・ポット苗栽培・疎植などの工夫をしています。

無農薬

種籾を60℃のお湯に10分程浸け病害を予防する温湯消毒法を実施。有機肥料を使い、除草剤・防除薬剤は不使用と、子どもたちが裸足で田んぼに入る時からお米を口に入れるまで、安心・安全な米作りを実施しています


ポット苗

直径1.6cm、深さ2.5cmの穴に種籾を1~2粒ずつ蒔いて苗を育てます。ポット苗の特徴は、手植えに適し、根を切らないので苗が傷まず、活着が早い。土付き成苗を植え付けるため、すぐに深水管理ができ、除草効果が高いことです。



疎植

株間を30cm程度(慣行栽培では20cm程)取ることにより、下葉まで日光が当たりやすくなるため、根張りがよくなります。茎も太くなり、分株がすすみ茎数も増え、倒伏に強くなる。風通しも良くなり、イモチ病などが出にくくなります。



◆体験水田活動内容

田植え

横一列に並んだ参加者たちが、30cm間隔についたロープの印に沿って、スタッフの掛け声とともに苗を植えていきます。大人は3株、子どもは2株を目安としています。一列になった全員が植え終わると一歩下がり次の苗を植える準備のため足元の土を均し、スタッフの掛け声を待ちます。大勢の参加者が横一列に並び、一斉に苗を植えている光景は圧巻です。

田の草取り

田の中の雑草、特にコナギを取る大切な作業。横一列に並んだ参加者たちが稲をまたいで進みながら、稲株の間の土をかき混ぜてコナギを根から浮かせていきます。暑い時期の作業なので、朝9時から一時間弱で作業を終わらせるようにしています。

畦の草刈り

田の畦の雑草を鎌で刈る作業。草の根は畦の土を引き締めて畦が崩れないよう守ってくれるので根は抜きません。稲の害虫を増やさないように草を5~10cmほどの高さに刈る高刈りをします。鎌を持つのも初めての体験参加者が多いため、鎌の使い方から丁寧に説明します。

かかし作り

体験参加者の手作りの案山子を田の畦に立てます。豊作への願いがこもった様々な案山子が並んだ風景は見沼たんぼの風物詩にもなっています。

※体験参加者の中からご希望のあった方にかかしを作っていただいています。

防鳥糸張り

スズメ除けの防鳥糸を張ります。糸を絡ませないように田の端から端まで張る作業は頭脳労働でもあります。

稲刈り

稲刈り鎌を使い、手作業で収穫していきます。草刈り鎌と稲刈り鎌との刃の違い、使い方を丁寧に説明します。刈った稲は3~4株をまとめ根本を麻紐でしっかりと縛ります。稲を運ぶ時の重さで稲の成長と収穫の喜びを体で実感できるときでもあります。脱穀はスタッフが操作するコンバインで行いますが、初めて見る大型の農機に子どもたちも興味津々で、休憩時間にはエンジンを切ったコンバインを近くで見学しています。


収穫祭

毎年10月第2日曜日に作業の労をねぎらい、実りに感謝する収穫祭を行っています。新米おにぎりの提供やわら細工体験、田んぼを見守ってくれた案山子への慰労などが行われます。体験参加者へはこの日に収穫米が配布されます。

令和2(2020)年、3(2021)年はコロナ禍の影響で収穫祭は中止となり、収穫米の配布のみ行いました。

すべての作業日にその日の感想を五七五にまとめて詠んでもらっています。米作りへの思いやその日に捕まえたカエルや虫たちのことなど、子どもの目線からの名句が生まれています。

体験水田米づくり歳時記